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腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは

「腹腔鏡(ふくくうきょう)」というビデオカメラ(写真1)で撮影し、モニター画面(写真2)に映し出しながら行う手術のことを言います。従来の、「お腹を切る」開腹手術と比較して「切らない(穴の)手術」と言われることもありますが、正確には「傷の小さい」手術です。

写真1写真1.腹腔鏡(カメラ)

写真2写真2.モニター

腹腔鏡手術の歴史

日本では1990年に胆嚢摘出術が行われたのが最初です。以降、徐々に適応が拡大され、現在では胆嚢はもちろん、食道、胃、大腸、脱腸、虫垂にも腹腔鏡手術が行われるようになりました。施行できる施設が限られてはいるものの、肝臓や膵臓についても既に行われています。
全国的に見ると、胆嚢についてはおよそ90%の方が腹腔鏡手術を受けるなど普及率は高くなっています。

腹腔鏡手術の実際と利点・欠点

全身麻酔で行います。おなかの数か所に5~10mmの穴をあけます。お腹の中を二酸化炭素で膨らませてスペースを確保し、専用のカメラでおなかの中を見ながら手術を行います。胃や大腸では切除した臓器を取り出すために4cm前後の傷は必要になりますが、従来の開腹手術であれば20cm程度の切開創が必要ですので、かなり小さくすむことになります(写真3~6)。カメラでおなかの中を拡大して見るため、これまで見えにくかった部位や細かい血管・神経も確認できるというメリットがあります。また傷が小さいことで、術後の痛みが少なく、腸管運動の回復も早い傾向があります。

一方で、手術の難易度がやや高くなります。特別な手術器具が必要となり、どこの施設でも同じようにできるとはいえません。一般的には開腹手術よりも時間がかかることが多い手術ですし、癌の手術としては導入されて30年ほどであり、手術後の長期成績について開腹手術と比較したデータは、まだ多くはありません。近年では日本内視鏡学会が技術の質をある程度担保するような認定制度を設けています。

写真5写真5.単孔式腹腔鏡手術(胆嚢摘出術)

写真6写真6.腹腔鏡手術の様子

腹腔鏡手術の適応

良性の病気や、悪性の病気である癌でも小さく、早い段階のものでは腹腔鏡手術を選択しやすくなります。あくまで病気の治療が第一の目的ですので、腫瘍が極端に大きい、近くの臓器に浸潤している、リンパ節転移がたくさん認められる、という病状の方には開腹手術をおすすめすることがあります。また、以前開腹手術を行ったことがある場合も、その手術の内容によっては開腹手術を選択しています。

また、患者さんの体調や持病が理由で腹腔鏡手術が行えないこともあります。
傷を小さくすることで病気の治療が不足する、安全性が損なわれるということがないように、医師と十分に相談して治療法を一緒に相談することが重要です。

詳しくは外科へご相談ください。